人工DNA、効率作製 6塩基構造 偽造や防犯対策に(日経産業11面)

理化学研究所と2007年にその理研ベンチャーとして設立したタグシクス・バイオが共同で、文書の偽造防止や防犯に使える人工DNAを効率よく作製する技術を開発した、と報じた。人工DNAは生物のDNA同様に4種類の塩基とさらにこれらの塩基と同様の働きをする塩基を新たに2種類開発。計6種類の塩基による二重らせん構造をもつ人工DNAを作製した。さらに、この人工DNAを遺伝子増幅技術を使い、効率よく作製できる方法も開発した。
この人工DNAは、自然界には存在しないものであることを利用し、いろいろな物体に吹き付け、タグとして活用しようという目論見である。防犯用では、犯人に吹き付け、現場にいた証拠として、自動車の塗料に混ぜることで、事故での車両特定につかうものとして活用できるという。バイオ・タグといったところか。
電子タグのように、いろいろな情報をタグに記録させることはできないが、人工的作ったDNAであるがゆえに、特定する手段としては十分能力を発揮できる。
課題は、偽造の問題。人工DNAが文字通り人工であるがゆえに、そのDNAと同じDNAを作ることが可能になる。1回の作製で二度と同じDNAが作り出すことができないというものであれば、偽造は難しくはなるが、一種工業製品としてのDNAとなるとその複製は可能であることは間違いない。いかにDNAの複製を作りだせないようにするか、複製を見破るためのDNAのジレンマかもしれない。