超伝導臨界温度 「冷蔵庫」レベルに道(日経産業11面)

東京工業大学の笹川嵩男准教授と米国のスタンフォード大学との共同研究グループが、超伝導の臨界温度を1.5倍に引き上げることができる可能性を示唆した、と報じた。臨界温度は、電気抵抗を0になる温度で、通常は絶対温度で90度、摂氏−183度だった。もっとも高い温度で絶対温度164度。これが単純に1.5倍になると、絶対温度が246度で、摂氏では−27度。この温度だと、冷蔵庫でも実現できる温度として、「冷蔵庫」レベルに道、というタイトルをつけたのだろう。
超伝導状態になったときのキャリアの動きが臨界温度と関係が深いことを発見したことがポイントらしい。電気を運ぶキャリアは通常対として働くが、その対、クーパー対と呼ぶが、の数が臨界温度と関係あるらしい。臨界温度が高くなるほどクーパー対の数が多くなるが、あるところまでゆくと対の数が減少し、臨界温度の上昇が頭打ちになるという。そこで、対の数が減少しないように伝導物質に加圧すると1.5倍の温度上昇が理論的に可能だということがわかったようだ。ただし、まだ冷蔵庫レベルでOKという根拠はなく、加圧方式でも効果がどの程度かは見えていない。笹川先生のグループは対の減少の原因追究をさらに深め、常温での超伝導実現への可能性を探るようだ。根本原因を追究するほうが、偶然的に実現するよりも効果が高い。是非、超伝導の常温下実現を早期に実現目処をたててほしいものだ。