神経や骨の再生医療 工学と医療の境界領域にもっとメスを

神経・骨の再生、開発加速 HOYA、天然素材で修復(日経朝刊12面 技術ウォッチ)
毎週金曜日の日経の「技術ウォッチ」。今週は医療技術として注目を集めている再生医療の中で、神経や骨の再生にこれまで医療とは直接的に関係していなかった企業が活躍しているという話である。再生医療ではiPSなどの万能細胞の研究がよく取り上げられるが、神経の欠損、骨の再生の遅延など医療分野ではまだまだ多くの課題を抱えている。そのなかで、キトサンを食用として販売する北海道曹達(http://www.hokkaido-soda.co.jp/)という会社がキトサンで作ったチーブに切れた神経を両端から突っ込むとチューブを媒体として再生できるということだ。発見した研究者には称賛を送りたいが、どこまで実用として使えるかはこれから。骨の再生でもHOYAなどが取り組んでいるが、人工合成した骨が自分の骨として置き換わるかもまだまだ試行錯誤の段階である。生体と工学という境界領域の研究はまだ途上である。特に、現象が解明できていないことの多い生体をある程度の環境や使い方を想定した工学技術がどこまで想定内で使えるのかが未知数である。なかなか生体をモデル化することは難しい中、臨床をとおして、問題点をひとつずつ潰してゆく地道な活動が必要である。その活動の中、大学はどう関与できるか、国はどうサポートできるか、真剣に考えてゆく必要がある。