クール・ジャパンの憂鬱(上) アニメ制作 委員会方式で取り分減る(日経朝刊14面)

連載で「クール・ジャパンの憂鬱」が始まった。アニメ、ゲーム、漫画など日本の文化としての世界的地位が高い中で、それほど関連企業の業績が結び付いていないという実態を浮き彫りにするシリーズだ。上編として、アニメの制作会社が儲かっていない、という実態を報告している。最近のアニメに限った話かどうかはわからないが、アニメの版権は制作会社にはないらしい。アニメ制作への出資として委員会方式と呼ばれるファンドを作って金を集める、という方式に代わり、制作会社はそのなんとか制作委員会の下請けに成り下がったからだという。制作会社はアニメのメーカであるが、製品としてのアニメがどう売れようがノータッチ、という状況だ。当然、アニメがもたらす収入の恩恵もなく、ヒットしても儲からない、ただ、ヒットしなくても損しないとということだ。当然、メーカである制作会社はなんとか委員会からコスト削減を要求され、低価格でのアニメ制作を余儀なくされ、採算ギリギリのところで会社を運用しなければならない。アニメに限らず、下請け会社の宿命か。では、どうやって生き残るか。なんとか委員会に入り込むか、委員会方式をとらず自己資本でアニメを制作、販売するか、どちらにしても当たりはずれの大きいアニメ業界で厳しい選択肢だ。海外の安い賃金でアニメータをアウトソーシングするのにも限界がでてきた。アニメにも、大量生産によるコスト削減か、芸術性による価値の増大か、どこの世界でも同じ問題が生じている。