<珈琲雑味>ラーメンについて

ラーメンが好きかどうか。味次第である。私はこってりスープのラーメンが好きなので、とんこつ味が好きである。特に博多ラーメンの「替え玉」システムとあののど越しのよい細麺が好きなので、よく福岡に行ってもそうだが、東京都心でも博多ラーメンを食べることが多い。ただ、とんこつのコクは実際のところ中途半端である。そのために、博多ラーメンにパンチをつけ加えるがごとく、紅しょうがや辛子高菜をたっぷり入れて食する。
これまでに、衝撃的なラーメンとして、学生時代によく食べに行った、京大の工学部と農学部が挟む今出川通りを銀閣寺方面へ行くところにある「天下一品」(天一)のラーメンがある。これはとんこつではないが、鶏がらの髄まで煮込んだ麺を持ち上げるといっしょに持ち上がるほどの濃厚なスープだった。最初はギョウザセットを頼んでいたが、このスープを飲み干すようになってからは、ラーメンだけで十分だった。
濃厚なのに後味さっぱりのこの「こってり」ラーメンの愛好者は多いと聞く。このゲル状のスープが私の(浅い)ラーメン史に色濃く残っているために、それに近いとんこつ味を好んで食べていたが、やっぱり物足らなさがあった。ここ10年ほど、早稲田界隈を散策することも多くなり、天下一品の支店が早稲田通りにもあるのは知っていたが、あの京大の天一の味と似ても似つかぬ味なのでは、という恐怖感で、入ることがなかった。先日、思い立って入り、こってりラーメンを注文。あのゲル状スープを首都圏で味わうことができた。ただ、カロリーは高めなので、それほど頻繁には通えなさそうだが、あのスープによって学生時代の思い出にふけることができたのは、うれしい限りである。