空中の酸素で携帯充電 KFE 空気亜鉛電池を利用(日経産業1面)

電子部品メーカであるKFE JAPANが空気亜鉛電池を利用した携帯電話向け充電器を開発し、今年の3月に販売する、と報じた。この充電器は、大きさが携帯電話より一回り大きいもの。20回ほどの充電能力を持っており、現在市販されている乾電池タイプの充電器に比べて割安、という。空気亜鉛電気は、一般に正極に空気中の酸素、負極に亜鉛を使った一次電池の1種で、電解液として水酸化カリウムなどの水酸イオン系のものを用いる。新聞のタイトルのように、酸素だけで発電させるような話ではない。
今回の電池は、亜鉛、水酸化イオン水を含んだ紙、ニッケルカドミウムの三層構造の電池である。空気中の酸素を取り込んで、水酸化イオン水と亜鉛の反応を促し、その反応で電子を発生させるもの。水酸化イオン水がなくなると充電できなくなるので、専門のリサイクルセンターに送って再利用することになる。再利用が可能だという点もこの商品の重要なポイントだろう。技術的には、空気亜鉛電池の課題である、温度、湿度などの使用環境にシビアである点など残されており、今後改善してゆく必要があるだろう。
それよりも、ユーザとしては、ユーザビリティの課題のほうが気になる。特に、大きさが携帯よりも大きいというのはいかがなものか。携帯電話とともに同じ程度のものを持ち歩くのは少々難。乾電池式は確かにコスト的には若干割高だが、小型であり、乾電池、特に単三を入手するのはそれほど難ではない。このように携帯のように持ち運びを重視した機器において、充電器が「存在感」を出してはまずい。せめて、ノートPCのバッテリーとして活用するのであれば、利用範囲も格段に広がるのではないか。