ICタグ100個 同時識別 物流管理に効率化(日経産業11面)

三菱電機がICタグ100個ほどからの情報を同時に読みとることができる技術を開発した。これによりタグを付けた物品を小分けして流す必要がなく、一気に識別、管理が可能になる、という。UHF帯のタグを使うわけだが、現在は同時読みとりは20個程度まで。それが5倍の100個同時、という訳である。
この技術は、4枚のアンテナを設置し、1枚のアンテナ読みとったタグからは情報を発信しないようにするアイデアである。そこまで細かく制御できるかどうかはアンテナ感度やICタグの設置条件にも依存する。今回はトラックに積まれたガスボンベにタグを付けたデモを公開したようだが、トラックの時速は3km/hの低速。難易度としてはそれほど高いものではない。
たしかに一度にたくさんのタグが読めることは物流管理には重要な技術である。ただ、いくらタグだといえども100%の識別率を出すことはベストプラクティスでないと難しいだろう。特に物品の取り付けやその配置もいつも読みとりやすいようにはできないのが常。読みとり漏れが物品が多くなればなるほど特定が難しくなる。一気に読みとる技術よりも、間違った時、取りこぼしたときにフォローできる運用技術の方が重要ではないだろうか。確かにRFIDの技術も138k帯のパッシブに始まり、現在ではUHF帯やアクティブタイプもでてきており、用途に合わせて選り取りみどりになってきたが、タグの運用技術に関してはそれほど進歩しているわけではない。
タグの技術はタグそのもののコスト、大きさ、情報の登載容量などが語られるが、それだけでいいのだろうか。まだ、パッシブのように1個ずつスキャナで読みとっているほうが運用上工数はかかるものの後戻りがない。
タグの技術はこれからも進歩してゆくだろうが、運用技術へも焦点を当てて進歩させてほしいものだ。