レアアース エコカー向け需要拡大も(日経産業15面「注目 この素材」)

レアアース希土類元素(rare earth elements)のことで、原子番号57番のランタンから71番のルテチウムまでのランタノイド族に21番のスカンジウム、39番のイットリウムを加えた17元素をさすらしいが、このレアアースが注目を浴びている。もちろん、レアなので希少価値が高いのは当然であるが、この元素が磁性体である鉄やコバルトに添加することで、強力な永久磁石を生み出すことができる、という点に脚光を浴びているということである。特に、この永久磁石が強力であるがゆえに、モーターが小型軽量化できるという恩恵は大きい。現在のエコカーに使われているモーターにはこの特長は欠かせない。モーターの大きさやそのトルクの大きさを決める要素の大きなものが永久磁石。これが小さくなるのだから、このレアアースが注目を集めるのも当然であろう。
もちろん、いいことだけではないのが世の常。レアアースの産出は90%が中国・チベット。なかなか安定に供給できる状況ではない。レアアースが含有するのは花崗岩が多いと思われていたが、意外とマンガン鉱にも含まれる率が高く、日本国内での供給も可能という。ただ、このモーターの永久磁石添加につかうレアアースは、ネオジム、ジスプロシウムやテルビウムの中重希土類で、これを多く含まれるのはやはりチベット花崗岩。自立はまだ先になりそうだ。このように、レアアースなどの希少素材が今後の科学技術の進歩のキーとなることが多く、その産出国との関係をどのように築き、もしくは維持してゆくかも技術進歩の課題になりそうだ。