EV走行距離10倍に道 リチウムイオン電極材料で単結晶 電池容量大きく(日経産業1面)

東北大学の一杉太郎准教授の研究グループがトヨタ自動車と共同で電気自動車などに使用するリチウムイオン電池の容量を現在の10倍に引き上げる電極技術を開発した、と報じた。現在、リチウムイオン電池の電極は、コバルト酸リチウム黒鉛を混ぜたもの。正極電極は帯電性のよいリチウムが多く充填されている電極が電池の容量を大きくしてくれるのだが、コバルト酸リチウムのみの結晶は作りにくく、一種つなぎとして黒鉛を混ぜて生成していた。そのため、リチウム充填量が低かった。今回の技術は、サファイア基板上にコバルト酸リチウムをレーザ蒸着させ、単結晶の薄膜として成膜させる製法を開発したところがポイント。成膜の際、リチウムを多く添加することで、充填量を増加させた。この成膜の後に加熱するが、加熱温度と時間との関係もうまく調整し、単結晶化させたようだ。ということで、まだ試行錯誤の部分が残っていることも確かなようだ。
当然、今後は成膜の安定性や単結晶へのリチウム充填のやりかたなど研究課題は山積。今回、トヨタが主体として発表していないところをみると、まだこれらの課題解決には時間を要する、という意味合いが感じ取れる。まだ、大学の研究段階という位置づけか。ただ、電気自動車の時代を日産が強く押し進めている背景の中、のんびりはしていられない状況でもある。