新型万能細胞の特許取得で浮かれるな 競争は更なる激化へ

iPS細胞 京大、製法特許を取得(日経朝刊1面&13面)
京都大学が新型万能細胞(iPS細胞)の製造特許が国内で成立した、と報じた。記事では、これによって応用に弾みがつくと書かれているが、この1面記事ではなぜ?という疑問が残る。この記事は必ず関連記事と称する13面も読まなければ状況はわからない。つまり、特許を取得しておけば、その特許を供与を受けたメーカは他社から侵害訴訟の心配なく安心して製造できる、だから応用に弾みがつく、という話である。確かに、その製造方法に関して安心かもしれない。が、iPS細胞の製造方法は、この特許の方法だけではない。いろいろな方法が、それも、京大の山中教授の方法をさらに発展させた方法もあるだろう。今回の特許取得はそれほど手放しで喜べるものではない。華やかに発表した時点から競争が開始されたのだ。したがって、その時点の山中教授の方法は「古くなった」。いくらエッセンスである基本特許を取得しても、その方法は必ず回避できると考えたほうがよいだろう。古い話に固執してはいけない。すでに競争は激化し、欧米でも山中手法より優れたものが実用化されつつある、そうだ。特許取得は大切だが、それは専門部隊に任せて、さらなる改良、いや、観点の違う方法論の模索で、日本が万能細胞製造技術でトップを走ってもらいたい。