渋滞向けセンサー情報 160万件、1分で解析 NEC 汎用PC1台で(日経産業11面)

NECが多数設置したセンサー情報を使って交通情報や市街地の安全性や災害を監視する「センサネットワーク」の情報処理技術として、汎用PCで高速に処理できる方法を開発した、と報じた。渋滞情報の場合、車からの位置、速度、方向などの50KB程の情報を10万台分入力して、1分間に160万件処理できたという。もちろん、シミュレーションの結果だが。この技術の肝は、Core2Quadのようなマルチプロセッサをもつ汎用PCにおいて、それぞれのCPUをパイプラインでデータを処理することで実現した、というところのようだ。ただ、パイプライン処理で早くなるのは高々プロセッサ数分だけ。これだけの工夫(?)で160万件処理したというのは、そもそも処理タスクがそれほど重くなかった、ということのように思える。こんな発表でいいのか?
今回の記事のように、処理速度を上げた、というものは、ニュースとしての価値は瞬間だけ。一時も経つと、CPU性能だけでもその程度の処理速度は軽く実現できる。ソフト屋さんがたくさんの工数を使って開発したことの意味がそれほどない。処理速度というものは、CPUが豊富に使える現状において決して意義がある話ではない。開発者にとって重要だという主張もあるだろうが、かけたコストに合った効果が得られたかどうか、費用対効果の問題だ。
それよりもこの「センサネットワーク」での問題は、処理速度だけが問題ではないだろう。今回のように、汎用PC1台へ10万台の車のデータをどのように入力するのかが問題だ。センサからの情報をこのように集中処理、管理する場合、入力系の「口」を工夫しなければパイプラインだなんだかんだといってもPCに入る前に渋滞してしまう。これらの多量データをさばく技術が一番のポイントであり、解決しなければならない課題である。