日立 人の位置 電波で把握 室内機器の省エネに応用(日経朝刊12面)

日立製作所がUWB(Ultra Wide Band)無線技術を使って室内にいる人の位置を検知する技術を開発した、と報じた。人の位置がわかると、空調の送風を制御したり、調光したりなど室内の電気機器への様々な応用ができる、とのこと。その応用をどれほどユーザが欲しているかはわからないが、技術としては面白い。
通常、UWBを使った位置検出は、UWB発信機とそれを取り囲む受信機による構成で位置検知をおこなっていた。発信機の場所を多数の受信機のキャッチした時間や受信機間の位置関係から割り出すものだ。この方法だと、確かに正確に受信機の位置を特定することができる。今回の技術は、この受信機がない。RFIDなどのタグの技術もそうだが、物体にタグなどのモノを持たせることができる場合とできない場合がある。オフィス環境だと、従業員カードに内蔵させるなど方法は考えられるが、一般家庭や公共の場においてこのような持ち物を持たせるという設定は難しい。ケイタイで、という発想もあるが、これも家庭内では場面設定が難しいだろう。それに比べ、今回の技術のように、発信機を持たせないで、UWBの電波の反射状況から物体の位置を特定する方法は、UWBによる位置検知に新しい用途を与えることになり、大変面白い。
もちろん、波形解析で位置を特定するのは、反射の状況が固定された中での話で、椅子の位置が変わったりするとそれだけで駄目になるだろう。認識はいま一つあてにはならないが、画像処理と組み合わせて、精度を上げる方法もあるだろうが、まずはUWBだけでの可能性を見てみたい。もちろん、使用帯域が他の方式と重複するなどUWB使用の許認可やまだまだコストが高い課題もクリアにする必要がある。