NEC議事録自動作成サービス サース型、作業時間半減(日経産業9面 「IT我が社の一押し」)

日経産業新聞の連載記事「IT我が社の一押し」において、今年の4月から本格的にサービスを開始したNECの議事録自動作成サービスが紹介されている。これはマイクで収録したデータをテキストデータに落とすサービスである、というのが根幹で、その落とす際に音声認識技術が使われている、というもの。音声認識技術は、市販されているソフトではなかなか思うように認識してくれないが、各社ともに豊富なコンピューティングパワーを背景に強力な技術を有している。ただ、ソフトのライセンス料は高く、NECの場合は500万円以上、とある。そこで、インターネットを経由してNECのサーバにアクセス。サーバ上にあるこのソフトを必要な時に利用し、利用料のみを払う、SaaS型のサービスに転じた、というのがNECから見た新しさであろう。ユーザにとっては、音声データを書き落としてくれるサービスなので、音声認識であろうが、人手であろうが関係がない。品質と価格とのバランスがよければそれでいいのである。
NECでは、業務用の高価な音声認識ソフトをSaaS型サービスにより利用料1回三万円で提供する。ただ、自動認識の精度は手放しでは満足ゆく状況ではないので、認識した結果を人手で編集、校正するという作業も入っている。議事録などに利用、とあるが、このサービスはどこまでうまくゆくものか。
少なくとも、現段階では、機密保持がどこまで契約でできるのかわからないが、社内の議事の書き落としをアウトソーシングするのにはかなり勇気がいる。東レの例が記事では紹介されているが、決算報告という社外に向けた会議の議事録であるがゆえに、このようなサービスが使えたのだろう。果たして、社外に向けた会議録の用途だけにどれだけこのサービスを受けるのか。やはり、用途を広げるためにも機密保持への取り組みを真剣に考えた方がよいだろう。
また、リピータの獲得も考える必要があるだろう。音声認識の機能も同じような事例であるならば認識率も向上させることが可能だろう。したがって、同じ用途で活用してもらえるユーザにはさらに安価で高品質な結果をリターンできるような仕組みを構築し、リピータの獲得をねらうべきだろう。
技術も重要だが、その技術を活用できる運用方法を確立し、うまいサービスに育てることも技術を生かす重要な方法論である。