情報の関連性一目で 同心円状表示ソフト開発(日経産業11面)

NECは、膨大な情報を視覚的に発見しやすくした情報整理ソフトを開発した、と報じた。このソフトは、ターゲットである情報に対して、その情報に関連深い情報をターゲットを中心として同心円状に配置させるインターフェースである。たとえば、関連が深いほど中心のターゲットの情報に近く配置される。これによって、関連情報を効率的に発見しやすくなる、といった意図である。
あくまでも想像だが、人間の視覚構造を模した発想ではないだろうか。視覚は、注視点から離れるほど情報の割り当て量が減少する特徴をもっているが、それに合わせて、注目(注視)する情報の周囲に関連情報を配置し、視覚的に見やすくし、関係の薄いものは注目点から離れ、注意を引かなくてもよいところに置いた、という発想だろうか。
確かにこのような表示の仕方は、関連性を表現する一つの方法としては、おもしろい試みであると思える。日立や富士通など電機メーカは、情報大航海プロジェクトと称する国家プロジェクトなどを通して、膨大な情報量をいかに検索しやすくするかを既に研究・開発し終えている。3次元的に情報を配列したり、時系列に対して螺旋状に配置したりするようなヒューマンインターフェースを既に実用ベースに乗せてきている段階だ。本技術は、多量情報時代に対して、NECも遅れまじとしている一手なのだろう。
本技術は、まだまだ課題が考えられる。たとえば、同心円にすることによって、情報を配置する量が限られることだ。確かに、関連深い情報はそれほど多くないなら、小さな径の中に収まるだろうが、それは事例次第。増しては、関連の薄い情報は山とあるだろうから、これをいくら多少広い径であってもすべてを配置することは難しい。単純に同心円、扇型、という表示の仕方だけでなく、三次元的な広がりもうまく使った表示方法を作らないと膨大な情報、特に映像などのようなビジュアルが重要なものを表示させるのは苦労しそうだ。
前出の企業や研究期間は長年その問題に取り組み、改良してきたが、果たしてこの遅れを取り戻せるか。期待が集まるところだ。