「焼かない焼き物」めざす (日経産業1面 「2020年の先へ エコ経営への挑戦」第一部カーボン革命<上>)

日経産業新聞の特集記事「2020年の先へ エコ経営への挑戦」が今日から始まった。政府が二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量を2020年に2005年の排出量比15%減を打ち出し、産業界にも波紋を呼んだ。この特集では、温暖化ガスの削減など環境対策が益々企業に要求され、企業戦略の重要な軸になってゆく中で、いかに将来に向けて活動してゆくか、各企業の取り組みを紹介する特集らしい。今日は、二酸化炭素を減らす企業の取り組みとして、3例が紹介されている。1つ目はINAX。電子レンジの原理を使って、陶器を焼かないで作り上げる技術開発の取り組みを紹介。2つ目は、セイコーエプソン半導体クリーンルーム半導体製造部分に限定することで、不要な洗浄機器などの設置を抑える活動。3つ目は、中谷造船という瀬戸内海の造船中堅メーカー。広島大学と連携して、ディーゼル船ではなく電力で動く電力船を開発し、2011年に鹿児島の桜島フェリーにお目見えする。
これら企業の共通点は、政府の揚げた削減目標値をはるかに越えた80%などの高削減率を目標に揚げている点であろう。中途半端な目標に甘んじてゆくのではなく、もっと先での競争を念頭に自ら厳しい目標を課してゆく姿勢は大変参考になるはずだ。確かに、05年比15%でもコスト面で厳しい。それは今までのやり方を踏襲している場合だ。やり方も根本からやり直せば、光陰が見えるという例として、おもしろい事例である。厳しい目標であればあるほど技術は進歩する。もちろん、その過程を静かに見守る姿勢も重要である。厳しい目標に厳しい工程だと、見えている目標に甘んじてしまうのが常。長い目で見ながら技術を育てることが肝心である。環境技術を成熟させるためにも、厳しい目標を立て、邁進する企業が多く出てくることを期待している。