背景画像から人を除去 京大など新技術 プライバシーを保護(日経産業11面)

京都大学の美濃導彦教授ら研究グループが監視カメラの映像から人を自動的に認識し、それらの人を抜いた背景だけの画像を表示する技術を開発した、と報じた。監視映像を共有化する際に、プライバシーの問題が避けられなかったが、この技術によって人を抜いた映像が提供できるので、不特定多数が利用するインターネット上での閲覧も可能になるという。
もちろん、背景だけの映像だけならば、その1枚の画像だけを張り付けておけばいいわけだが、この技術では、人を抜いた後、人を表すものとして棒状の絵を映像中に張り付け、混雑具合もわかるという仕組みである。確かに、リアルな映像を公開することに対して抵抗はあるが、抜いてCGなどで人らしいものと合成すれば、正確な状況はわからないが、概略を知る上では参考になる。
もちろん、認識技術に絶対がないので、抜けがでてくる場合は当然考えられる。検証に赤外線カメラを使ったことも考えているようだが、そもそも絶対がないシステム作り、運用方法を考えるべきだろう。いくら99.9%以上の認識率であったとしても所詮或るデータセット上の数値にしかすぎない。どこまで信用できるかは正直わからないのが、メディア系の認識技術の宿命だ。この手の応用において、一回でも実物がわかる映像を流したら最後、プライバシーの問題に直面する。それほどシビアだ。自動の効果が薄くなるかもしれないが、人の介在で、漏れがない映像を提供できる仕組みを作ることも重要な技術開発である。ただ、大学にそこまで求めるのは酷かもしれない。技術を買い取るメーカの責任だろう。