人体経由の無線通信 東大と用途共同研究(日経産業6面)

人体通信技術の一つとして「準静電界通信」を手がけるQファクターは、その技術の特許を有する東京大学の滝口清昭特任准教授と共同で、今度はこの技術の使い道を探る共同研究をおこなうという。
Qファクターが進める「準静電界通信」については以前本ブログでも紹介したが、Bluetoothなど無線技術との違いを明確にする用途を見つけないと埋没する、と書いた。今回の記事は、技術開発下の滝口先生に準静電界通信ならではの用途を考えてもらおうとする目論見だ。お付き合い費にしては2000万円の委託研究費は高いので、この目的だと思うのが妥当だろう。
さて、この記事でも、通常の無線技術とは違う用途の模索をアピールしている。たとえば、体を通しての充電機能。通信だけでなく、準静電界を電線がわりにして電気を流すしくみである。確かに、MITなどの無線送電技術はともかくとして、簡単な仕組みで無線で送電する方法はまだそれほど開拓された分野ではない。その着眼はおもしろいところだ。
ただ、苦し紛れの事例なのかもしれないが、無電源の無線マウス、というのはいかがなものか。無線マウスが無電源になってもそれほどインパクトもない。もうすこし、遊び心がほしいところだ。
さて、本当に技術開発下に2000万円の委託研究費を払う価値があるのか、1年後を期待したい。使用権をやすくメーカに提供して、そのメーカの発想で用途を広げる方が一石二鳥のような気がするが、仲間で固まりすぎて、小さくまとめってしまうのか、と危惧してしまう。
頭が柔軟な学生(東大生)の発想を使う?一サンプルしか見ていないでの発言で恐縮だが、それほど期待できない。発想の異端者が必須である。学生を使うならば、海外の知的ハングリーな学生に尋ねるほうがよいと思う。