トヨタ レクサスブランド復活なるか?車載センサの限界

本日の日経朝刊(13面)に「高級車市場巻き返し」と題して、低迷しているトヨタの高級車ブランド「レクサス」の巻き返しシナリオが掲載されている。巻き返し策として挙げられているもののひとつとして、「プリクラッシュ・セーフティ」という事前に危険を察知し、歩行者、車両との接触事故を軽減する技術がある。
一般にこれらの技術は、レーザやミリ波などのアクティブセンサを使った技術、画像処理などによるパッシブセンサを使った技術、それらのフュージョン技術の3種類に分類されるが、アクティブセンサは人や車など対象物までの距離、位置は(パッシブに比べ)比較的正確に計測できるが、計測している対象が何かまではわからない。したがって、ガードレールに反応しているのか、何に反応しているのかわからないので、いわば「座頭市状態」のセンシング技術である。一方、画像処理などによるパッシブセンシングは、一応(?)計測している対象が何かがわかり、かつ、ステレオ視などで距離がある程度わかるという意味で有望視されているが、対象物の認識、計測に不安はある。そもそも画像処理に100%の認識精度を求めるのは酷で、(ある大学の先生は「できる」という主張をされる方がいるが、それは無見識きわまる。「できる」という根拠も「できない」という根拠もないのが現状である。)それだけに頼るのは難しい。
そこで出てくるのが、昔から研究分野としては名は出ているものの実態が全くつかめない、センサフュージョン。ミックスモダリティという人もいるが、センシング情報を単なる足し算で考えているようでは、なんのためのフュージョンかわからない、という批判を受けて、悶々としている状況である。ここにきて、ITS分野で少しは日の目をみることになるのか、注目すべきところである。トヨタの話に戻るが、これら高級車にこのフュージョンの技術を使うのは結構だが、各センサがそれぞれ100%の認識率を持っていない以上、足し算程度の技術では心もとない。高級車を買う購買層がどこまで技術がわかっているかわからないが、所詮はその程度と思い、使われなくなるおもちゃと考えるほうが妥当であろう。
NECさんがトヨタにIMAP−CARという車載向けのプロセッサを提供し、これらパッシブセンサの構築に一役買っているとのことだが、チップや箱だけでは、まだまだ。画像処理の技術はまだ発展途上である。車載画像処理では、富士通さんがよく言っている撮影環境の変動への対応はちょっとそっとでは無理で、富士重工などの車メーカや富士通などのような長年屋外の画像処理をやってきている電機メーカなどのように、長年継続的に研究開発し、データのつみあげをしてきた会社にその光陰は見えてくるのかな、と思う次第である。